曼荼羅山 善照寺

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六波羅密

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六波羅密(ろっぱらみつ)

布施(ふせ)

「お布施」というとすぐに金銭を連想するかも知れませんが、お布施には「財施」(ざいせ)と「法施」(ほっせ)と「無畏施」(むいせ)の三種類があります。

布施をする人を檀那といいます。
だから菩提寺に布施をする家を檀家というのです。財施とはお金や衣服食料などの財を施すことで、法施とは仏の教えを広めること。無畏施とは災難などにあって困っている人を助けて、その恐怖心を除くことなのです。

そのほかにも「無財の七施」(むざいのしちせ)があります。
1「身施」、肉体による奉仕。
2「心施」、他人や他の存在に対する思いやり。
3「眼施」、やさしいまなざしすべての人々の心を和やかにする。
4「和顔施」(わげんせ)、柔和な笑顔を絶やさない。
5「言施」、思いやりのこもったあたたかい言葉をかけること。
6「牀座施」(しょうざせ)、自分の席をゆずること。
7「房舎施」(ぼうしゃせ)、わが家を一夜の宿にかすこと。

大震災や大きな災害で多くの人がボランティアに携わったと思いますが、まさしくこの布施行の実践であります。

善照寺のお檀家さんで、週に3日くらい、ずっと通ってこられる方があります。こつこつと庭の手入れをされています。誰に頼まれたわけでもなく、ただひたすらに作業をされています。

尊いことだと思います。

持戒(じかい)

持戒とは戒を守ることですが、まさしく「十善戒」(じゅうぜんかい)の実践であります。

ひとつひとつの戒を見てみるとどれもあたりまえのことで、実践はたやすいことのように見えますが、常にすべてのことを、24時間、生涯にわたって守ることはとても難しいことです。

もしも、確実に実践できたなら、すでに仏となることができます。「即身成仏」(そくしんじょうぶつ)です。

しかし私たち人間は弱い存在です。
ときには貪りの心、怒りの心、愚かな心にながされ、罪を犯してしまいます。そんなときには、すぐに反省することが大切です。

懺悔(さんげ)です。
そしてまた「三密の行」を実践し続けなければなりません。瞬間の成仏をより多く、長い時間継続できるように努力しましょう。

忍辱(にんにく)

耐え忍ぶこと。忍の一字であります。

人間関係のトラブルの原因は大概がかっとなってしまった結果です。

あるお檀家さんの家に「忍辱」の書があります。先々代の住職が書いたものです。その家のおじいさんは若いときから、大変気が短く、ついつい周りの人と喧嘩になってしまいました。お酒を飲んでは家族の人に怒鳴り散らすこともありました。このことを大変反省したおじいさんは、住職に相談し、「忍辱」の教えを授かりました。それ以後本人はとても努力をし、晩年は総代として寺にも尽くされました。
私の記憶では、威厳のある、温厚なおじいさんのイメージしかありません。

精進(しょうじん)

とにかく努力すること、一生懸命、一所懸命に努力すること。

これは誰かのためではなく、自分のための行です。
目標を設定し、着実に継続する姿は尊いと思います。仏様は毎日休まずお勤めをしても、「よくやっているね」などと褒めてはくれません。
そのかわり、少し怠けたからといっても怒ることもありません。
仏前にお参りする、ご先祖様にお線香をあげるということは、自分自身を参っていることなのです。
自分の中にはご先祖様から受け継いだ大切なものがあり、心の中には仏性があるのです。

当たり前のことですがとても奥の深いことだと思います。仏様の御教えにより、向上心をもって「日々是精進」を心がけたいものです。

禅定(ぜんじょう)

精神を集中して、静かに考えること。

仏道を修行しても、そのおこないが身につかなければ、成果は期待できません。

仏の教えに触れ、確実に実践していくには、確かな信仰にもとづいた、不動心が必要です。
回りからの誘惑に負けないためには日頃より訓練することが大切なのです。

朝夕に仏前でお参りをし、今日一日の自分の言動と心の状態を点検しましょう。
毎日少しの時間でよいので、心静かに考えてみましょう。

智慧(ちえ)

真理を見ぬく洞察力。

人は時々先入観念から、誤った見方をしてしまいます。
「あの人は○○らしいよ、変わった人みたいだから付き合わないほうがいいよ。」など、何の根拠も無く、自ら確認したわけでもないのに、他人から聞いた話を鵜呑みにして、間違った行動を起こすこともあります。

いじめや差別などはこの典型的な過ちです。
実に悲しいことです。
これは、した側も、された側も悲しむべき行為なのです。このような過ちを犯さないために正しい智慧を見につけなければなりません。

仏の智慧は何からも影響を受けず、堂々としています。これを学び、真理を見ぬく目をもって、正しい判断に基づいた行動をしたいものです。